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 材料,試験方法については腐食データシート検討会で詳細に検討されている。 データシートに記載される主なデータは日本工業規格による 次のような標準試験法により求められている。
それらはJIS Z 2381(2001)「屋外暴露試験通則」, JIS Z 2382(1998)「大気環境の腐食性を評価するための環境因子の測定」, JIS Z 2383(1998)「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法」 などである。

 材 料

 大気腐食試験に供される材料は,検討会で審議された市販材及び溶製した合金材料で, 製造履歴の明確なものを使用する。 試験片は板状とし、その形状はJIS Z 2381(2001)に準ずる。

 試験方法

暴露試験は以下に述べる試験方法を採用した。
  1. 直接暴露試験(Fig.2 参照)南面45 °に傾斜させた暴露架台を使用し, 試験片を,雨,風,日光などの自然環境下に直接暴露する試験である。
  2. 遮へい暴露試験(Fig.3 参照)遮へい構造物の下に,暴露架台を水平に設置し, 雨、日光の直接の影響を避けた状態で暴露する試験である。 各試験をつくば,銚子,宮古島の3 個所でそれぞれ実施する。 各試験場の位置及び気象条件はFig.4Table 3 に示す。

 評価項目

所定の暴露期間後回収された試験片について以下の項目で評価を行う。
  1. 外観観察 暴露後の試験片は、外観を目視観察するとともに、試験片の対空面(表)及び対地面 (裏)についてそれぞれカラー撮影を行い、記録とする。
  2. 断面観察 暴露後の試験片の一部はさびの断面観察の ため、埋込み処理を行い、研磨後、顕微鏡観 察を行う。
  3. 質量測定
    1. 初期重量 1mg の単位で試験片質量を測定する。 試験片は気化性防錆紙に梱包し、暴露試験開始までデシケータ中に保管する。
    2. 暴露後質量 暴露後の試験片は、JIS Z 2383 及びISO8407 に記載の方法で腐食生成物の除去処理を行い、 1mg の単位で試験片質量を測定する。
    3. 腐食度 試験片の腐食度は以下の式に従って算出する。
      • r corr (mm/y)=Dm/(A ・r ・t)・10 ここで、Dm :腐食減量(mg )
      • A :試験片の表面積(cm 2 )
      • r :試験片の密度 ( g/cm 3 ) (全鋼材に対して、7.86 の値を適用)
      • t :暴露期間(year )

 気象因子及び環境汚染因子の測定

 各暴露サイトで測定する気象因子及び環境汚染因子をTable 4 に示す。 本計画は大気腐食データシート作成の第1 段階に関するものであり, 試験の進行に伴い今後見直されることとなっている。 本計画により得られた結果は「物質・材料研究機構大気腐食データシート」として 材種または暴露年限に応じて出版される。 データシートには原則として標準試験法による結果の生データが次のように記載される。

  1. Material -Processing details,Chemicalcomposition,Heat treatments(必要な場合)など
  2. Corrosion properties -Test conditionand specimens,Metal loss-exposure perioddiagram など
  3. 暴露サイトの気象データなど
 なお,上記データシートのほかに,データシート資料が出版される予定である。 これはデータシートから抽出したデータを加工・集積し,解析結果や解説を加えるとともに、 データシートに掲載できなかった外観写真,断面写真,暴露試験で形成されたサビの解析結果などを加え, データを実際に使用する場合の便宜を図ることを狙いとしている。

 物質・材料研究機構大気腐食データシートの概要は以上であるが, このような計画を実施し得るためには, 試験の面だけでなく,研究面での能力の向上も重要であることは言うまでもない。 そのため関連する分野での研究活動も大いに推進しており,その成果は各種の学会誌等に随時発表されている。 このような研究面での裏付けがあってこそ,データシート試験の円滑な実行、的確なデータ整理が可能になり, 今後とも広く信頼されるデータを出していくよう努力を続けたいと考えている。