低合金鋼 大気腐食データシート作成計画

金属材料の腐食性あるいは耐食性は,構造物や化学プラント等の安全かつ信頼しうる設計, 製作、保守管理などのために重要な要素の一つであり,これまで多くの研究者の努力により,膨大な データが蓄積されてきた。しかしながら,材料の耐食性には金属学的因子,構造物の形状寸法因子, 環境条件(マクロ的,及び局所的)など多くの因子が複雑に影響し合うため,多くのデータの中から必要な条件下での 耐食性を見いだすことは容易ではない。特に,金属材料の大気腐食に関しては,環境因子の影響が極めて大きく, 環境データに裏打ちされた腐食データは産学官の各研究機関から公表されているが,各所でそれぞれの目的のために 独自に行われた試験結果であり,偏りもあることは否めない。そのため,金属材料の大気腐食性を評価し, 新たな耐食材料開発の研究指針となる系統的な試験を行う必要が感じられていた。

物質・材料研究機構は古くから金属材料の大気腐食研究を実施していたが, 1997 年,機構内に新たに大気暴露試験場を開設した。 現在,通常暴露架台4 台,遮へい暴露架台4 台、気象観測装置1式を有している (Fig.1 参照)。 NIMS 大気腐食データシートは大気腐食が重要となる構造物に用いられる各種金属材料及び新たな耐食材料開発の ための指針となる基本的な合金材料について基準的な大気腐食特性を系統的に明らかにすることを目的としている。 このため,試験材料に関しては,市販材は国内の代表的な会社における通常の製品の内から採取し、標準試験法に 基づいた大気暴露試験を行い,データ整理までを一貫して物質・材料研究機構で実施することとした。

また,合金材料は国内の代表的な会社に溶解を依頼して作成したものである。試験対象となる材種及び試験計画を Table 1Table 2 に示す。この結果得られるデータシートは材料設計者のみならず,それらに協力する腐食関連技術者にも 有用なものと考えられる。本計画全体の有意義な方向付けのため,2001 年関連産学各界のこの分野における指導的な 方たちを招いてNIMS 構造材料データシート懇談会が開催された。また計画実施上の問題点等を検討するため, 腐食関係の専門家による検討会が設けられている。懇談会、検討会の構成については付録Aに示す。 当機構は、材料データシートプロジェクト並びにそれと密接に関係するクリープ受託試験と事故調査を対象に、 ISO9001 “Quality managementsystem ” (JIS Q 9001 「品質マネジメントシステム」)の認証を 平成14 年5 月20 日付けで取得した。

当機構では、今後はこれまで以上に、ISO9001 認証をもとに研究・業務の信頼性・品質の向上を図るとともに、 顧客要求を取り込んだ研究・業務を遂行する。