国産実用金属材料の疲れデータシート作成計画

 材料の疲れ強さは,機械や構造物の安全かつ信頼し得る設計,製作,保守管理などの ために極めて重要な要素の一つであって,疲れによる破損がどのようにして, またなぜ生ずるのかを知るために,これまで多くの努力がはらわれてきた。この結果, 現在,工学分野に適用できる各種データの蓄積も膨大なものとなっている。しかし材料の 疲れ強さには金属学的因子,形状寸法因子,環境条件など多くの因子が複雑に影響を 及ぼし合うため,山積するデータの中から必要な特定条件下での疲れ強さを直ちに 見出すことは,現実には容易でない。

 金属材料技術研究所はすでに1968年より,上に述べたと同様の主旨のもとに,国産材料の 長時間クリープデータシートの作成を目的とした試験を開始していたが,さらに引き続き 疲れデータシートを作成すべく計画に着手した。このため1970年,金材技研に新しく 疲れ試験庁舎を建設し,1973年までに必要な試験設備を設置した。現在,設備としては 大型疲れ試験機7台,小型疲れ試験機42台,高温疲れ試験機27台を有しているが, その概要はTable 1 に示すようである。

 金材技研疲れデータシートは疲れが重要となる機械や構造物に用いられる各種の国産実用 金属材料について,基準的な疲れ特性を系統的に明らかにすることを目的としている。 このため,試験材料は国内の代表的な会社における通常の製品の内から新しく採取し, 標準試験法に基づいた疲れ試験を行い,データ整理までを一貫して金材技研で実施する こととした。試験材料となる材種及び試験区分はTable 2 に示す。この結果得られる データシートは強度設計者のみならず,それらに協力する材料技術者にも有用なものと 考えられる。

 本計画は機械,構造物,高温機器といった技術分野に対応させた3つのサブテーマから 成っている。それは「ばらつきを含めた基準的疲れ特性」,「溶接継手の疲れ特性」, 「高温疲れ特性」の3つであり,各サブテーマ間,及びクリープデータシートとの 整合性に留意しつつ進められている。

 計画全体の最も有意義な方向付けのため,1975年,関東産学各界のこの分野における 指導的な人たちを招いて金材技研疲れデータシート懇談会が設けられた。また計画実施上の 問題点を検討するためには,懇談会のメンバーの推薦による専門家で構成される検討会があり, これには各サブテーマに対応した3つの分科会が設けられている。懇談会, 検討会の構成については付録Aに示す。