宇宙関連材料強度特性データシート作成計画

 国産ロケットH-ⅡAの4号機は2002年12月14日の打ち上げに成功し、環境観測技術衛星(ADEOS-2)と 3機の小型衛星全てを軌道に乗せた。H-ⅡAの打ち上げは、2001年8月の1号機の成功以来、4回連続して成功し、 他国の宇宙プログラムの打ち上げが失敗する中で、世界各国の衛星産業関係者の信頼を高めた。 さらに独自技術による衛星打ち上げは、日本の技術水準を示すだけでなく、 わが国の将来の宇宙の平和利用にとっても極めて重要である。

 H-ⅡA国産実用ロケットの開発において、機器の設計及び信頼性向上のために、 用いられる材料の使用される条件での特性を十分に把握することは重要なことである。 しかし液体水素を用いるエンジン関連材料の液体水素温度(20K)等の極低温における特性に関しては、 国内において液体水素を用いる材料試験が難しいため、機器の設計に際し多くの場合NASA等から 公表されている既存のデータが参照されていた。H-Ⅱ8号機LE-7エンジンの破面解析を進める過程において、 疲労破面あるいは脆性破壊かの破断形態の判断、破壊応力の応力解析と設計応力との比較等の参照資料として、 詳細な材料データ及び破面写真が要求されたことからも、国産ロケットに実際に用いられている材料の特性を 十分に把握する必要性が高まり、緊急にH-ⅡAロケットのエンジン関連の材料の特性試験を行うことになった。 これらの試験は、物質・材料研究機構(NIMS)と宇宙開発事業団の連携の下で国産ロケット関連機関により構成された 国産ロケット用材料強度特性データ整備委員会から発展した宇宙関連用材料強度特性データシート検討会において コーディネートされるとともに、NIMSを中心に試験を実施して取得されたデータは、詳細に検討され、 データシートとして公開される。またデータシートを集め、破面写真を含め、資料集を発刊する。 データシートは、液体水素中を含むデータのみならず、極低温試験技術についても情報を提供する。 これにより、得られるデータシートは強度設計者のみならず、それらに協力する材料技術者にも有用なものと考えられる。

 NIMSでは、およそ30年にわたって、10年以上のクリープデータや1010回の疲労特性を含むクリープと 疲労のデータシートを出版してきたが、2002年から腐食と宇宙関連材料が加わった。 計画全体の最も有意義な方向付けのため、1975年、関連する産学各界のこの分野における指導的な人たちを招いて データシート懇談会が設けられた。また計画実施上の問題点を検討するためには,懇談会のメンバーの推薦による 専門家で構成される検討会がある。懇談会,検討会の構成については付録Aに示す。  当機構は、材料データシートプロジェクト並びにそれと密接に関係するクリープ受託試験と事故調査を対象に、 IS09001 "Quality management system" (JIS Q 9001)品質マネジメントシステム」の認証を 2002年5月20日付けで取得した。当機構では、今後はこれまで以上に、IS09001認証をもとに 研究・業務の信頼性・品質の向上を図るとともに、顧客要求を取り込んだ研究・業務を遂行する。